#ENGAGE

プログラミングの知識だけじゃない!
情報大が広げるキャリアの可能性

2025.06.27
この記事について
「情報学=プログラミング」だと思っていませんか? 実は、その可能性は想像以上に広く、ビジネス、観光、人の行動など、あなたの持つさまざまな興味や探求心と深く結びつく奥深い学問です。今回は、数学教員志望から情報学の世界へ飛び込み、卒業研究では観光客の「無意識の興味」をウェアラブルデバイスで解析、そして今は製品の品質を守るQAエンジニア/SETとして活躍する佐藤亮さんにインタビュー。「プログラミングだけじゃない情報学」とは何か。大学での学びが、いかに多様なキャリアを切り拓き、社会で通用する力となったのか伺いました。

教員希望からプログラミング開発の道へ

情報大を選んだきっかけを教えていただけますか?

もともと数学が好きだったので、数学と情報の教員になろうと思い、情報大を選びました。しかし授業を受けているうちに、プログラミングや開発に興味が変わっていきました。

システム情報学科で特に印象に残っている授業や活動はありますか?

プログラミングも面白かったですが、特に印象深いのは「国際コラボレーション」という授業です。タイの大学生と英語で協力し、家の防犯システムのような組み込み製品を開発しました。言語や文化が違う大変さはありましたが、一つのものを作り上げた達成感は大きかったです。授業以外でも、タイの学生たちの自分から積極的に学ぶ姿勢にも刺激を受けましたね。

国際的な視点も広がるんですね。ほかにはいかがでしょう?

やはり4年生のゼミです。ここで一番成長できたと感じます。

ゼミではどんなことに取り組みましたか?

自分が興味を持ったテーマで卒業研究に取り組みました。最初は分からないことだらけでしたが、自分で徹底的に調べたり、先輩や先生に質問したりしながら解決していくプロセスで、学ぶ力やコミュニケーション能力が身につきました。

卒業研究のテーマを教えてください。

「まち歩き観光におけるウェアラブルセンシングに分ける思考性推定」というテーマでした。Apple Watchで心拍数を測りながら街を歩いてもらい、心拍数の変化から観光客が無意識に何に興味を持っているかを推定する研究です。

心拍数データと位置情報を紐付け、後でインタビューで興味を持った理由を聞くという進め方でした。人の体の反応から興味を読み取るという、人間行動学に近い視点も含まれていました。

観光客の隠れた興味を見つける面白い研究ですね。大学生でこんな研究ができるなんてすごいです。

ありがとうございます。この研究を通して、自分で課題を見つけ、どう実現するか考え、必要な新しい技術を調べて取り入れる力を深く学べました。

製品の最後の砦。QAエンジニア/SETという仕事

現在の仕事に就くまでのキャリアを教えてください。

大学卒業後はSIer企業に入社して、Webアプリケーションの保守開発を担当していました。プログラムの開発からテストまで、すべて自分で担当していたのですが、自分でつくった部分を自分でテストすると、どうしても見落としが多くなり、うまくいかないことがあったんです。

その経験を通して「テストってすごく大事で、奥が深い仕事だな」と気づきました。もっとソフトウェアの品質について学びたいと思い、ご縁があって、検証を専門としている部署がある現在のウイングアーク1st株式会社に転職しました。

SIer(エスアイヤー)とは?
System Integrator(システムインテグレーター)の略称で、顧客の課題を整理・分析し、システム設計や開発、運用・保守までを一貫して請け負う企業のことです。
開発からテストの重要性に気づいて、品質の専門家を目指されたのですね。

QAエンジニアのお仕事、テスト実行者との違いとは?

私の仕事は開発した製品やアプリが仕様通りに動くか、不具合はないか、そしてユーザーにとって本当に使いやすいかを検証し、品質を高めることです。QA(Quality Assurance)エンジニアとしては、たとえば自社の「Dr.Sum Datalizer」という製品に対して、不具合はないかを確認したり、新機能を入れたことでほかの機能に影響がでていないかを分析したり、本当にこの機能でユーザーは満足するのかを考えたりしています。

決められた手順に従い操作する「テスト実行者」とは役割が大きく異なります。私たちは、まず製品の仕様書や設計書を深く読み込み、ユーザーがどう使うか、どんな問題が起きそうかを分析します。そして、テストすべき「観点」を洗い出し、具体的なテスト手順である「テストケース」を設計するのが主な仕事です。テスト実行者は、私たちが設計したテストケースを実行する役割です。

テストそのものを設計し、考える役割なんですね。

そうです。さらに重要なのは、ユーザーの「感覚」を理解することです。開発は仕様通りに作るのが中心ですが、私たちは製品として使った時の「使い心地」を重視します。日頃から様々なデバイスやアプリに触れ、「ユーザーが自然だと感じる操作」や「不便さ」に対する感覚を磨いています。卒論のように、人間がどう感じ、どう行動するかという視点が活きています。

システム開発の「上流工程」知識や、製品全体を「俯瞰して」見る力が必要

開発と対等に話し合い、品質向上の提案をするためには、システム全体の仕組みや設計思想を理解し、全体像を把握する力が欠かせません。これでユーザーの求めるものが実現できるか、ほかの機能への影響は?といった視点で、開発の「最後の砦」として品質を保証します。

製品の品質を多角的に支える専門職なんですね。

テストの自動化やテストツールの開発を行うSET

SET(Software Engineer in Test)としては、繰り返し行うテストはコンピューターに任せるため、自動テストツールを開発したり、スクリプトを書いたりします。大学でプログラミングの基礎や、自分で新しい言語を習得した経験が活きていますね。開発言語を知ることで、開発者のコードの「意図」を理解し、不具合予測にもつながるんです。

技術だけじゃない。社会で通用する本当の強さとは

単なる技術だけでなく、背景にある考え方まで理解する必要があるんですね。

大学で自分で調べて解決する習慣が身についたのが、新しい技術に対応するうえで本当に役立っています。変化の速いIT業界では不可欠な力です。情報大は先生との距離が近く、ゼミなどで深く学べる環境が整っているので、自分で考え、調べる力が養えたと感じています。

先生との距離が近いのは、高校生にとって安心できるポイント

情報大はシステム開発といった技術的な分野はもちろん、私の卒論のように人の行動や観光に応用したり、ほかの分野と結びつけたりと、自分の興味に合わせて幅広く学べる環境だと思います。文系・理系などの枠にとらわれずに、自分が思う「おもしろい」を突き詰めていける場所です。

高校生へメッセージ

情報学と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実は皆さんの「面白い」と思うことと深く繋がっている学問です。ゲームが好き、アニメが好き、音楽が好き、旅行が好き、人と話すのが好き……。どんな興味からでも、情報学の世界に入ってくることができます。

情報大では先生や仲間と一緒に、自分で考え、手を動かしながら、きっとあなたの「面白い」を見つけることができるはずです。少しでも興味があるなら、ぜひ一歩踏み出して、情報学の世界に飛び込んできてほしいです。将来、皆さんと一緒に働ける日が来るのを楽しみにしています!

ウイングアーク1st株式会社 ソフトウェアプロセス&品質改善部/佐藤 亮さん

釧路明輝高校 出身

北海道情報大学 総合情報学部(変更前:経営情報学部) システム情報学科 2017年卒業

System 総合情報学部
システム情報学科 ※2
REASION 未来の暮らしを 豊かにする 
ICT技術者へ。
ICTサービスは、生活のあらゆるシーンに欠かせないものとなりました。また、人間に代わってAIが判断を行ったり、カーナビや気象予測などでGPSや衛星画像が身近に活用されています。これらの開発・運用にはシステムエンジニア、AIエンジニア、宇宙情報の専門家が欠かせません。本学科では、暮らしの豊かさに貢献する高度なICT技術者を育てます。
総合情報学部 システム情報学科 ※2

※2 2026年4月 経営情報学部から学部名称変更予定(届出申請中)

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